名も知らぬ草に blog

管理人:草(そう)

・ 8.12夜。ペルセウス座流星群 /昭和20年12月、上野駅地下道 


とりいそぎ。

「夏の定番天文現象「 ■ペルセウス座流星群」。
今年も8月12~13日を中心に、活発な活動が見られそうです。

一番の見ごろとなる12日深夜から13日未明には、少し月明かりの影響がありますが、空の条件が良いところで1時間あたり30個ほど流れ星が飛ぶと期待されます。」


■「ピークは12日深夜~13日未明
2020年のペルセウス座流星群の活動が最も活発になる「極大時刻」は、8月12日22時ごろと予想されています。
つまり、12日の深夜から13日の未明にかけてが一番の観察チャンスとなります。 」

 

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昭和二十年、終戦直後。大空襲で焼野原となった東京で。あるいは全国の都市部で
親を亡くして、ひとりで生きていくことを強いられた子供たち。
彼らは「駅の子」と呼ばれた。彼らは誰からの助けも受けられずに次々と死んでいった。
(NHK 「駅の子/語り始めた戦争孤児」)

ただ、ここに、この詩を 人知れず亡くなっていった 名も知らぬ子どもたちに捧げる。(2018.8.15 草)


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・昭和20年12月、上野駅地下道 


わたしは君子 11歳
父も母も空襲で行方知れず
幼い妹と弟と三人で地下道に暮らしている


大人たちはわたしたちのことを駅の子といって
地下道にうずくまるわたしたちを
汚いものをみるようにして通り過ぎていく


朝になり ヤミ市にでかける
おじさん お芋を売ってください 一本でもいいから
ここに10銭あります これが最後のお金です
妹と弟がもう3日も食べてないの


たった一本のふかし芋
妹と弟に半分ずつ わたしは一口だけ
それでも背中とお腹がくっつきそう
冷たい泥水をのんで
小さな声でりんごの歌をうたう
赤いりんごに くちびるよせて だまってみている青い空……


少しばかりのお芋をたべると
妹と弟はわたしのひざで眠りはじめた
ろうそくの灯りが妹と弟の赤いほっぺを照らす


きのうはすぐ隣の小さな兄弟がうごかなくなって
きょう触ってみたら冷たくなっていた
助けてあげられなくてごめんなさい
ごめんなさいね ごめんなさい


夜の地下道はしんしんと冷えて
しもやけの指先が痛い
お父さんのコートを首までかけて丸くなる
お腹がすいてなかなか寝付けない


お父さんの懐中時計も
お母さんのサンゴの指輪も売ってしまった
もう売るものがない
わたしみたいな子供の働くところもない


明日はカラダを売りにいこう
まだ十一だけど
このまえヤミ市で買った口紅をさしていこう
あぁお腹がすいた 寒くて眠れない
さっきからくちびるの震えがとまらない


神様仏様 どこにいらっしゃるの
どうしてお国はおにぎりひとつさえくれないの
わたしたち明日は生きているの
どうかどうか 妹と弟だけでいいからたすけて

 

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