名も知らぬ草に blog

管理人:草(そう)

・淡い緑の便箋を(名も知らぬ詩 2004年)/電柱から電柱へ /可愛いパン /デシカと青い花 

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・淡い緑の便箋を  /(名も知らぬ詩 2004年)


あのときの あなたは


叫んでいましたね
声にならない声で
神はどこにいるのかと


期待していましたね
正しさにすがり
審判をもとめて


ちいさく 震えていましたね
最前線に赴く兵士のように
悲壮な覚悟で


失った気で いましたね
靴跡だらけの
じぶんの影をみつめて


手放そうとしていましたね
荒々しい波に耐えかねて
ひとつしかないものを


ひどく 驚いていましたね
この言葉の
源泉はどこなのかと


その道の先

あのひとが
微笑みをたたえて 待っているとも知らずに

 

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・電柱から電柱へ (2004.2)

 

しゅんとなってる

太陽電池の君よ


夕焼けなんか放って

たばこ屋の先までいこうか

 

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・  (2004.4)


可愛いパン 
それはただ眺めるもの

可愛い傘
それはただ失くすもの

可愛いスプーン
それはただ光をすくうもの

可愛い本
それはただ一緒に眠るもの

可愛いひと
あなたは ただ

 

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・デシカと青い花 (2005.2)


理由 意味 脈絡 常識
あのうっとおしい皆さんが到着するまえに
摘めてよかったねぇ うるさい黙ってて


みっつ目の声でわたしに歌いかけるあなたに
あんなふうな言葉でしか
なんだか可愛い デシカ
どこか海の向こうの国 ピアスの光る小さな女の子みたい
きっとまつげが長いの 涙は大粒なの


長旅から帰るあのなつかしい平穏のために
パンを焼こう 前よりもふくらむパンを
いくぶん多めに焼いて
においに誘われてくるあの子
背伸びして覗いていたりするデシカにも もたせよう

 


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