名も知らぬ草に blog

管理人:草(そう)

・ ふれられたくない /手の冷たい人は /つゆだく、牛丼 / クリストファー・ランバート /セルジュ・ゲンズブール、ジェーン・バーキン /シャルロット・ゲンズブール「なまいきシャルロット」 /ローラ・アシュレイ /江戸っ子は温かい 

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 しばらくまえ。つくねをかじっていたら、タレが手のひらについて。「あ、」と小さく声をあげる。すると友人が、キッチンペーパーをパリっと一枚とり、それを手のひらでくしゃくしゃっと丸めてまたひらいて、わたしに「ん。」と手渡した。拭きとりやすいように、硬い紙をやわらかくしてくれて。なんて気の利く人なんだろう。神対応。100点満点、花丸もあげてもいい。と感心した。
 ペーパーを手渡すのはいい。相手がそのペーパーでわたしの手を拭こうとするのはNG。 なぜって。わたしは幼いころから、人にさわられるのが嫌い。 男だろうが女であろうが、イヤ。親しい人も家族でも嫌。ただ、お年寄りの、おばあちゃまの、さらりと乾いて冷たくシワめいた、すじばった手なら、だいじょうぶ。 そんな理由から、美容院へは行かなくなった(月に一度か二度、自らのハサミで毛先をそろえる。そのせいか、髪はむだにツヤツヤ……(+_+) )。 若い頃、エステのお試しコースに行ったら(某ソシエ)、次から次へと何かの液体をぬっては落とし、ぬってはグリグリと落とし、それはもう激しくゴシゴシこすられ、お肌が真っ赤にかぶれてはれあがった。帰宅して。ヒリヒリする顔を冷たいお水で冷やしながら『えらい目にあっっちゃった。もう二度と行かない。』と心に誓った。
 中年女性やおばあちゃまがわたしの手のうえにポンと手をのせてくるのは大丈夫。中年女性が照れ笑いしながらこちらの二の腕をバシバシ叩くのも平気。フレンドリーなひとだなぁと微笑ましい。
 ねこには、こちらからは、ふれない。ねこにはねこのきもちがあるだろうし。

 
 人の手が、とくに女の人と、小さな子供のグニャリと柔らかくて生温かい手に、何かのひょうしにちょっとでも触れてしまうと『ひぃっ』と飛びすさるほどキモチワルイ。もみほぐし、マッサージなんてとんでもない。
 ただ、病院だけは別。 信頼できるお医者さんなら、プロの医術に任せる。東洋医学の心得のあるお医者さん希望。

 2001年3月にお腹を切って入院していたとき。冷え込む春の真夜中、ひじの内側に刺さってる点滴を看護師さんがかわるがわる来て、新しい袋に替えてくれるのだけど。一人だけ、患者さんに対してお愛想ひとついわない、いつもクールな表情のニコリともしないガリガリに痩せたベテラン看護師さんがいて。
 夜間は1フロアの何十人もいる患者をたった2人の看護師さんが守っていて、夜になると患者さんの痛みや高熱がでるため、ナースコールがひっきりなし、2人のナースの病室へと走っていく、しずかな、それでいて迅速な、一刻を争う感じのパタパタという足音がひと晩じゅうきこえていて。 点滴がとまったから、高熱のため氷枕の氷がとけてしまってシンドイからといって、このくらいのことで、忙しい看護師さんを呼びつけるなんて申し訳なくてできない、と、わたしはナース・コールを一度も押せなかった。ただ気付いてもらえれば、と。真夜中の、看護師さんが懐中電灯を手に、患者ひとりひとりの寝顔を照らしに、巡回しにくるのをひたすら待っていた。
 その人は、いつも忘れずに(こちらが呼ばなくても)、わたしの点滴がなくなる前にきて、テキパキとむだのない仕草で新しい点滴に替えてくれるのだけど。その人の指先がわたしの内腕に一瞬だけ触れるとき、その指先がヒンヤリと冷たくて、はっとして目が覚めるような心地になる。あのときわたしは、『あぁ。「手の冷たい人は、誠実で、ココロが温かい」って、ほんとうなんだ。』と深く心得た。 その看護師さんだけは、信頼できた。針をさすのも上手で、勘がよく、まちがいない。プロの手だ。 わたしの点滴はその人にだけ、してもらいたかった。

 

 

 例外もある。 憧れの人との握手は特別。神さまのお手に触れるなんておそれおおいやら、恥ずいやら、ありがたいやら。一生の思い出になる。 もう、この手はきょおは洗わないでおこう、と思ったりして。帰宅するやいなや、真新しい真っ白な包帯でグルグルと巻いて、「あぁ……」とその残像を脳内で思い浮かべたりする。その夜はもう、ドキドキがとまらなくて、ぜんぜん眠れない。
 そのあたりは妙に、くっきりはっきり。 少女って、そんなものかも。 え、少女なの??
 なんだろうな。ちょっとした自閉症?? ともかく、そんなふう。まずもって。ひとことでいうと。 ふれられたくない。

 


 このまえ。友人に、牛丼をつくる。真っ赤な紅しょうがは、あらかじめ小さなタッパーに入れてある。 たまねぎの筋にたいして横向きに、長くなるように包丁できる。あー、目が痛いっ。涙ぽろぽろ、号泣してしまう。なにがなんだかわからないまま、玉ねぎ3個ぶんを蒸し煮 → 牛肉(350グラム)、→パルスィート大さじ2つ、そばつゆを細目にちょろちょろ、くるくる、みりんテキトー。 牛肉を(肩ロース切り落とし)買うとき、霜降りを手にとって戻し、健康のことを懸念して、脂身の少ない、赤身のものをえらびとった。 牛肉は甘めにするとおいしい。
 夜。友人がてんこ盛りの牛丼(一番うえに紅しょうがたっぷり)を、かきこんで、美味しそうに食べている。「きょう、ちょっと甘いかも。玉ねぎ3個つかったから……(※味見してない)」「ちょうどエエで♪」 「つゆだく にしたの?」「もちろん。めっちゃ、んまいっ(*^▽^*)」「そぉ。ふふ。」 「でも、【すき家】には、かなわないわ……」「いや、あれはあれで別モンやからなぁ」「そぉね……(^^*)」


 ふと浮かんだ。 二十年くらい昔。洋酒:フォア・ローゼスのCMのクリストファー・ランバート。 彼の出演していたのはB級映画というか、しょうもない映画ばかりだけど、彼が登場するだけで良かった。フランス映画「サブウェイ」にも出ているらしい(フランスでは「クリストファー・ランペール」?と呼ばれているとか)。 あの野性的な目がすてき。あんな瞳でみつめられたらどうしよう。くらくらしちゃう。

 


 セルジュ・ゲンズブールはエロい。あの色気ははかりしれない。オトナの余裕? バーキンは無邪気、コケティッシュ

 

 シャルロットが何かの賞をとったときの記念式典。シャルロットにキスの雨。

 「なまいきシャルロット」 シャルロットが クララ?アグネス?のピアノ演奏会におめかししていった花柄のカシュクールのワンピースにあこがれて。
 (自分のお給料の3分の一もして、高価だった。あのドレスには一目惚れして、どうしてもほしくてフンパツした。)わたしはおでかけやデートにローラ・アシュレイの紫色の花柄の胸が深くVにあいたドレスを着てみたりしてた。おまけにそれはパフスリーブ(二の腕が華奢にみえる、ちょうちん袖)。ウェストのうしろをおリボンで結ぶ形なところもお気に入り。 乙女ちっく。
 ローラ・アシュレイのドレスをいくつか所有していたけれど、ローラ・アシュレイはイギリスの発祥、サイズが欧米人のものだから、ロング丈のワンピースはくるぶしまであり、よくドレスの前すそを靴で踏んでしまい、つまずいて転びそうになったことが何度か。 それからは、長いスカートで駅の階段を降りるときは、すそをつまみあげて足元をたしかめながら、一歩一歩、そろりそろりと降りるようになった。 いまでも階段は怖い。
  あの、お気に入りのスカート。デパート内のお店で一目惚れして、(あのアンサンブルとは運命的な出逢い)。「君は払わなくていい。俺がプレゼントするから(^▽^)」と買ってもらったもの。あの服も日本製のSサイズなのにぶかぶか。買ったそのお店→メーカーへ注文して。お直しをしてもらった。 あれを、とっておきのときにだけ、大切に着ていたら。ぼくが新しいのを、もっといいものを買ってあげる。といいだした人がいて。そんないきなり言われても、ほしいものなんて思いつかない。困ってしまった。 あのアンサンブルの上の服はやはりぶかぶかでもっこりした肩パッドがダサくてシルエットがおばさんぽくなるのですぐに着なくなった。スカートは一歩歩むごとに太ももとすねに柔らかくまとわりついて、きれいに揺れてくれたので、ごくたまに身につけた。 いまは太ってしまったから、もう履けないだろうなぁ。
 ローラ・アシュレイ銀座店や横浜のデパートの支店でお洋服やバッグをみているあいだ、付き添いの男の人は、「これは長くなるな。」と思ったのか、お店の壁際のソファにたおれるような姿勢で座って。「なんでも、すきなものをすきなだけ、いいよ(^▽^*)」「遠慮なんてしなくていいよ。」とうながされて、鏡のまえであれじゃない、これじゃない、と悩むわたしを、半ばあきれ、それでいてどこか満足そうに微笑みながら、待ってくれていた。
 いくつか購入して(買ってもらって)お店を出ると、あの人は買ったばかりのいくつもの紙袋を「ぼくがもつよ。君には重たいだろう。」とうれしそうにひとりでもっていた。 停めてある彼の車のほうへ歩いているつもりのわたしは、あらぬ方向へむかっていたようで、「おぃ。どっちいくんだよ。こっちだぜ」と呆れながら笑われた。 どうやらわたしは方向音痴らしい。
 男の人に「ほしい」なんてひとこともねだってないのに、ほとんどが向こうからこう言ってきた。「何かプレゼントしたい。贈らせてください」 そんなお願いされても困る。なにも返せないし。


 知らない街へ行くと、きまって迷子になる。いつぞやは渋谷のライブハウスへ行くのに、妹と二人、てっきり、渋谷の「センター街」は一本の道だとイメージしていて(テレビでちょっと映るあの通り)。10人以上の人に道を尋ねて、交番のお巡りさんにも懇切丁寧に教えてもらって、けれど、どこまでいってもライブハウスは現れない。もうだめかな、妹も足が痛いだろう。小ぶりなマンションの植栽のふちのコンクリに腰かけて休憩。 妹に「〇ーちゃん、きょうはごめんね。こんなことになっちゃって……。もう帰ろっか。」と言ったら「もうちょっと行こうよ。わたしは平気だから(^▽^*)」と女神みたいなことを言ってくれて、「あぁ、〇ーちゃん!うん。ありがとお(>_<)」 ふたたび歩きだして、10分ほどしたら、偶然、目の前にライブハウスが現れた。受付でチケットをもぎってもらい、金色の手すりにつかまって階段を昇ると、入口の扉。その向こうから、扉ごしに音楽が聴こえる。あれはそう、まるで讃美歌のように感じた。 妹とふたりぼっち、渋谷の街を2時間さまよった。もう二度と行かないだろう。

 


 東京の人は老若男女どなたも親切で、道を尋ねるとニコニコしてわかりやすく教えてくれる。
 いつか、会社のおつかいで成田空港の滑走路建設現場の事務所にお留守番として行くとき。 現場には、お昼までに着けばいい、自宅から直行してください、〇〇さん、一人でほんとうに大丈夫ですか?迷ったらすぐ会社に電話してきてね。とのこと。 あの頃はまだ、成田エクスプレスなんて存在しなかった。リムジンバスもなかったような……あったかもしれないけど、会社の交通費が降りなかったのかも.。 昼前につけばいいので、いつもより自宅をゆっくりめに出て、電車に乗って乗り換えて、ガタンゴトンと揺られて3時間ほど。空港最寄り駅からの交通機関はないため、現場の人がハイエースで迎えにきてくれるという。 だ、大丈夫かな??一人で行けるかな、不安だな。と思いながら。


 現場はJV。ええと、JVとは、ジョイント・ベンチャーの略称。大手ゼネコンの合同企業体。わたしの会社は弱小の家族的な雰囲気の建設会社。わたしの頃は、昔と違い、マンションや高層ビルなどは、一社だけでは請け負わなくなり、いくつもの建設会社が合同で建てていた。 
 葛飾駅(かつしか)?で乗り換えで降りて、電車内で読む本がほしくて、駅舎に入ろうとするスーツの中年男性に(スラリと長身でやせ型で、イギリス紳士のよう)「あのぅ、すみません。この辺りに本屋さんはありますか。」と尋ねたところ、「あぁ、すぐそこにありますよ。」といって紳士はいま来た道をクルリと引き返し、わたしの先を歩いて駅から道なりに3分ほどのいった右手にある本屋さんまで案内してくれた。さらに紳士は「帰り道、駅までの、おひとりでだいじょうぶですか??」「はい、(たぶんおそらくきっと)大丈夫、です。」 「どうもご親切に……ありがとうございます(>_<)」深くお礼をいうと、「あはは、いいんですよ。では(^▽^*)/」と爽やかに微笑んでわたしに手をふって、紳士はふたたび駅へと消えた。通勤途中なのに、あのおじさまったら。とカルチャー・ショックをうけた。東京の下町ってこんなに温かいんだ(@_@)。あのおじさま、ほんものの江戸っ子なのね……。と感じ入った。

 

 
 再び電車に乗って少しすると、ガラガラに空いた電車内(その車両にはわたしともうひとり。たった二人きり)。
 さきほど買ったばかりの文庫本か週刊文春を読むふりをしていると(文字を追うと、電車に酔って目が回って「うえっ」となるから。)。 向かいのシートに腰かけていた中年の小柄でふっくらした、第一印象:専業主婦らしきおばさまが「ねぇ、あなた。どこまでいらっしゃるの。」とやさしい声をかけてきた。「成田空港までです」
 「あらっ。わたしもよ。そのひとつ手前まで行くの、ふふっ☆」「そうですか。」「よかったらおしゃべりしましょ? わたし電車なんてめったに乗らないから、どうしたらいいかわからなくって、うふふっ♪」「はい。いいですねぇ」「わたしね、もう〇〇歳でね、ふだんはおウチにいるの。だから右も左もわからなくって、ふふっ☆」「あぁ、わかります。こころ細いですよね。」「そうなの、もう不安で不安で。本は老眼鏡ないと読めないし、景色も飽きてつまんないし、」「そうでしょうね……」「あなたお幾つ?」「18歳です。きょうは会社のおつかいで来ました。こんな遠くまで(笑)」「18っ?!(@_@) 十代!若くてうらやましいわぁ(^^*) もう働いているなんてえらいわぁ」「勉強キライなので、はやくオトナになりたくって、あはは。」「そぉなの、そぉだったのぉ(@_@)」 「ウチのおとうさんはね、話きいてくんないし、お嫁さんはね、お味噌汁がしょっぱいし……」「そぉですか。」 「あなたって話しやすいわね、話しやすい人でよかったわぁ☆」「いえ、そんな……」 なごやかに、他愛もないおしゃべりをするうちに、電車はおばさまの目的駅についてしまい、「おなごり惜しいわぁ。気をつけていってらっしゃいね♪(^▽^*)/」「はいっ。がんばります(^^*)」「ごきげんよう(´▽`*)」「お気をつけて……(^^*)」 わすれられない小旅行となった。

 

 

  谷崎潤一郎春琴抄」のように。立て板に水で、ほとばしるまま、書きとめてみた。その間、たぶん腹式呼吸。お腹の丹田でしずかに吸ってはいて。チャクラで書いた。といってもわたしのほとんどは煩悩なので、いわゆるひとつの煩悩メモ。

 


 シャルロットの可愛らしさといったら。手足の長さ、顔の小ささ、……やせっぽちで、胸がぺたんこ、少年体型。儚げに、夢々しくて、永遠の少女。 可愛すぎてもう。ありえない。

 うーん。フランス映画をみたくなる。

 

 


CM キリンシーグラム フォアローゼズブラック クリストファーランバート
https://www.youtube.com/watch?v=MQl5R-72EpY


Jane Birkin et Serge Gainsbourg - Je T`aime,...Moi Non Plus ※ジュ・テーム (Je t`aime)
https://www.youtube.com/watch?v=k3Fa4lOQfbA

Slogan ※ジェーンの踊る
https://www.youtube.com/watch?v=yfD9-BYJBvo

Slogan - Gainsbourg, Birkin. (1969 )
https://www.youtube.com/watch?v=LDsp2o-iuoY


Charlotte Gainsbourg "Cesar du meilleur espoir feminin 1986 | Archive INA
https://www.youtube.com/watch?v=UswYwCCZjQo

「なまいきシャルロット」LcommEffrontee (1985仏)
https://www.youtube.com/watch?v=SobXzMJN1V4

L'effrontee - Sara perche ti amo? 1985 - Ricchi e Poveri 1981 ※テーマ曲:なまいきシャルロット
https://www.youtube.com/watch?v=_ZmKg0b7Sa4