名も知らぬ草に blog

管理人:草(そう)

・とある音楽② /キヨシロー

 とある音楽についてもうちょっと書いておきたい。
 あれは2003年11月末。初めてラジオから、流れてきたとき(J-WAVEの「ソウルトレイン」という番組)、雷に打たれたような衝撃で、驚きのあまりワナワナが止まらなかった。
それまではあることが原因で沈み続けていて、大好きな草花に水やりしても、どんな音楽を聴いても気分が上昇しなかったのに、ぶっ飛ばされて、それどころではなくなった。
後日、エルビスというTVの音楽番組でライブ映像を見たときは、まるで秘密結社の地下活動のように感じて、そこで何が行われているのか??これはいっぺんこの目で確かめてみないと……と思ってチケットを予約したのだった。
 あの方のいいところのひとつは、多趣味なこと。なにか思いつめたとき、ふっと抜け道になるだろうから。

 

 「ラジオ」から連想して「トランジスタラジオ」。RCサクセションのキヨシロー。その姿を初めて見たのは北の国の音楽友達から贈られたフジロックのライブ映像。
第一印象は「わ!スタァ☆だ……」。曲もすごいし、とにかく華がある。なにこれ、カッコよすぎでしょ。でも、どこかいたいけで病気のヒナみたいで、うちに連れ帰ってご飯を食べさせてあげたいと思った。
トランジスタラジオ」を聴くと、1980年代前半、インターネットのラジコはおろか、まだJ-WAVEもなくて、FMのラジオ局が80.0FM東京と82.5NHK-FMと84.7FM横浜だけだった頃を思い出す。
中学生のときにモノラルのラジカセで土曜の昼、東京FMのダイヤトーン・ポップスベストテンを聞くために学校から走って帰宅したことや、ラジオを雑音の少ない窓際に移動させてアンテナをスチャーッと伸ばし、ダイヤル式のチューニングを慎重に合わせてAM810のFEN(米軍放送、現在はAFN)から流れてくる新しい音楽にドキドキしたことや(日本の放送局より一か月くらい早かった)、高校生のときに父親から誕生日に買ってもらったラジカセで(ダブルデッキのラジカセ、グライコ=高音&低音を調整できるツマミ=がついていた)、ラジオからリック・アストリーやトンプソン・ツインズ、カルチャークラブにチャカカーン「i feel for you」といった素敵な曲をカセットテープに録音したりしてた……そんなふうにときめいていた頃の気持ちがよみがえる。
 音楽に今も昔もなく、なにを聴いても新しい。それを教えてくれたキヨシロー。 キヨシローは死んだりなんかしてない。お星さまになったんだ。